10/17/2011

「芸術力」の磨き方 林望 より抜粋



私に欠けているもの。「考える」力。
アート鑑賞は好きだけど、いつも漠然とあぁこの絵いいなぁと感じるだけ。
なぜ好きなのかを表現するためには「観察」、「比較」して「考える」ことをしないといけないんだなと本を読んで感じました。

賛否両論のある本だけれど、こういう考え方があるんだなと思えて私的にはおもしろかったです。

ここから抜粋↓


相手が子どもだろうと大人だろうと、大切なのは野放しで「感性」を発揮させることじゃありません。
まずは「考える」姿勢を身につけることが大事だということです。そして、「考える」という行為は、じつは「観察」と「比較」から始まります。

物事を漫然と眺めている人には、読み手を満足させられるような文章はかけない。「きれい」とか「大きい」とか「古い」といった概念でしか、対象を把握してないから。

それはその対象を見る前から知っていることにすぎない。自分の頭で考えながら観察したものではない。そういう一般的な概念とは違うところで、対象をどう観察して何を考えるかが芸術には大事なのであって、そこで問われるのが、ほんとうの意味の「感性」なんです。

で、その感性は、ふだんから周囲の物事を具体的に観察することでしか鍛えられません。

たとえば電車のなかで美人に出会ったら、単に「ああ、美しい人だなぁ」とうっとりしていないで、なぜその人が美しく見えるのか、どういう目鼻立ちで、いちばんの魅力は何なのか、そいういったことを頭の中で文章化するぐらいのつもりで観察する。

そうやって具体的に記銘しておけば、その美人を見ていない人に後で説明したときに、まるで目の前にその女性がいるかのような気持ちになってもらえるわけです。そこで初めて、自分ならではの感じ方、つまり感性を相手に向かって表現したことになるんですね。